久しぶりにNetflixの日本ドラマでドハマりして、一気に観たドラマがありましたので、感想を書いておきます。
福島第一原発事故の様子を描いた「THE DAYS」です。
原案はわたしもかなり前に読んだ、門田隆将さんの「死の淵をみた男ー吉田昌郎と福島第一原発」ですが、映像にすると本当にすごい、というより怖い!
豪華な俳優陣の迫真の演技、観ていて引き込まれる様々な描写にくぎ付けで、陳腐な感想を書くのは失礼なのだろう、と思ってしまうぐらいのドラマです。
暗い映像の中に、迫真の演技
このドラマ、福島第一原発事故の対応にあたった、現場の壮絶な時間を臨場感あふれる映像で再現しています。
そのような状況ですから、当然のことながら映像が暗い場面が非常に多いです。
暗ければ何も見えないだろう、と言ってしまえばそれまでなのですが、その暗い場面の中でも俳優さんたちの迫真の演技を観られるのがこのドラマの醍醐味の一つです。
特に前半のエピソード、電源喪失した一号機で繰り広げられる、熱い人間模様が交差する場面を含めた、様々な場面が本当にすごい。
私は観ていませんが同じテーマを扱った映画「Fukushima50」では主人公だった1号機の当直長を、本作では竹野内豊さんが演じています。役所広司さんが最高なのは言うまでもないのですが、この人が最高だった。
正直に言うとこのドラマを実際に観るまでは「この役、竹野内さんのような美形俳優ではない、ほかの人ではだめなの?」と思っていましたが、偏見でした。申し訳ありません!
本当にカッコよかったし、自分の判断が目の前の部下の生死を左右する、それだけではない様々な重圧に耐えようとする一つひとつの表情・仕草がとにかくすごい…
竹野内さんは大昔の「星の金貨」というドラマに出ていた頃からのファンでしたが、このドラマでますますその魅力に引き込まれました。
怒声・大声を上げる総理大臣
福島第一原発の現場とともに、重要な場面が首都の官邸や東電本社です。
史上最大級の大災害の時に史上最悪の政権だった、とはよく言われますが、このドラマでも余裕がなく大声で怒鳴り散らす総理大臣を、小日向文世さんが見事に演じています。
大声・早口・怒りという要素を盛り込んだ長いセリフを、明瞭に伝える力は小日向さんならでは、なのでしょうね。
この小日向さん演じる東総理を観て、誰もが腹立たしい気分になると思います。
しかし、その当時の首相が最低だったことは皆が納得する事実だとしても、他の人が首相であったとしても大声を出したり怒鳴ったりせずに、あの場をやり切れたのだろうか、と若干引いて考えてしまいます。
この点、原案である「死の淵をみた男」を読むと、役所広司さん演じる吉田所長が、当時官邸と色々やりあったのだと記憶していたのですが、このドラマでは本社と激しくやりあう場面はあっても、総理大臣に対しては至極冷静です。
ただ、エピソード7で無茶なことをいう総理大臣を後目に、ズボンを脱ぎ尻を掻くシーンは最高でしたが…
私は高校生のころ、教師が大声で怒鳴っている様子を見て、「人ってこのようにふるまうと残念に見えるのだな」と思いました。
それからその教師を反面教師として、自分自身、業務などで大声を上げることはしてきませんでしたし、その後の長い仕事生活でも、大声で怒鳴ったりする人は周りにもほとんどいませんでした。
これは恵まれた環境に自分がいただけで、実際の世の中には余裕を失い、大きな怒声を上げる人は結構いるのだと思います。
総理大臣という一国を担うリーダーも、結局はちっぽけな人間だったということをうまく描いているな、と感じた次第です。
Netflixだから作れたのだろうな、と思う
津波のシーン、水素爆発のシーン、散乱する瓦礫の山などなど、どのようにして作っているのだろう、というシーンの数々、
そして、放射線量を図る計器の出す音がまるでホラー映画のようで、これが実際に起こった出来事なのか、と後で考え直すととても怖い!
やはりNetflixは一話一話にかけている製作費が地上波と比べると桁違いと言いますが、このようなドラマを観ると、Netflixに加入していてよかったな、と思います。
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